合理的な判断はできなくてあたり前、だって人間だもの。
「投資」において、合理的で先入観のない意思決定ができている人はほとんどいません。
「できている」「自分は大丈夫」だと思っている人ほど、「経済合理性のない判断」で利益を逃し、損失を積み上げている傾向がある、行動系座学の研究により明らかになっています。
「行動経済学」を学び、「自分は合理的な判断ができない」と知った上で、予め対策を講じておく必要があると思います。
意識しないと(意識していても)絶対逃れられない「バイアス」や「行動心理」について戒めと備忘を込めてまとめています。
理想と異なる行動は「プログラムされている」
自分に利害のない他人の行動は冷静に批判や分析できても、自分自身の利害が絡むと人は必ず不合理になるものです。
「自分は絶対大丈夫」ではなく、「自分も同じ」だと思うことが、適切な対策ができるようになる第一歩です。
理想 | 現実 | |
---|---|---|
判断 | 理論的 | 感情的 |
偏見 | ない | あり |
行動 | 自己利益の追求に集中 | 予測不可能な事象に翻弄 |
ゴール設定 | 富の最大化 | 他者との比較 |
ぶれないゴールとルールを決めて守り続けることができずに市場から撤退する人がほとんどの投資の世界では、まず人間としての自分の弱さをしっかりと認めることが何よりも重要だと考えています。
避けられない「バイアス」を理解する
「バイアス」はマーケティング戦略を考える時にも必ず考慮されているので、日々の生活の中でも私たちのこの避けられない「バイアス」は、優秀なビジネスマンたちに「利用」されています。
投資の世界においてもこの「バイアス」はしっかり私たちを支配していることを理解しておくだけでも、経済合理性のない判断を減らす効果があります。
名称 | 説明 | 事例 |
---|---|---|
アンカリングバイアス | 購入時価格やニュースなどで聞いたインパクトのある価格がアンカーのように印象に強く残ってしまい、資産の本来の価値を客観的に判断できなくなる現象 | 「最高値更新」とメディアで大々的に報道されると「それ以上上がらないのではないか」と根拠なく不安になってしまう |
代表性バイアス | 今日起きたことが明日も起こると期待してしまう現象 | 今、値上がりしている株はずっと上昇をし続けると期待してしまう |
注意バイアス | 感情的にポジティブな情報よりもネガティブな情報に選択的に注意を向けてしまう現象 | 損失がある株は値上がりを期待して保有し続けてしまうが、少しでも利益が出た株はすぐに売ってしまう |
「なぜこの資産に投資しているのか」「どうなったら買い増したり、売却するのか」のシナリオを予め描いて、自分が守れるシンプルなルールに落とし込めていない限り、「確実」に投資判断を誤らせる、人間である限り避けられない、バイアスたち(我らの敵)です。
ブラックスワン対策 by 「ナシーム・タレブ」
1987年のブラックマンデー、2000年代のITバブル、リーマンショックなど株価大暴落が起きた時でも、類稀な投資成績を上げたとして有名な「ナシーム・タレブ」は、事前予想ができず、起こったときの衝撃が大きい事象を「ブラックスワン」と呼び、その対処法を教えてくれています。
「ブラックスワン」とは、白いはずの白鳥の中に黒い白鳥が現れたことで世間に大きな衝撃を与えた事例からなぞってつけた名前で、「反脆弱性」という、大きな打撃を受けるような事象が起こったときにその逆境をプラスに変える特性の重要性を教えてくれています。
予測できないことを予測することはできません。
つまり、マーケット全体がつくる未来の相場をいち個人の欲望通りに動く訳はなく、誰にも予想ができないものです。
予測できないことを予測するより、
マイナスとなる出来事が起こった時は、そのマイナスをプラスに変えられるような対策を予め準備しておく、つまり投資で言えば、感情に振り回されることなく、予めシナリオを決めておいて、その通りに、システマチックに売買ができるようにしておくということです。
人は恐怖の中で正しい判断はできず、失うものに対して過剰な恐怖を感じるものであり、人は恐怖の中で正しい判断は絶対にできないので、そもそも余裕資金でしか投資をしないという大原則の上、「株価暴落対策」を予めしておくこともとても重要です。
ディスポジション効果
投資でしっかり利益を伸ばして大きく稼ぎたいと思ったら、もうひとつ知っておきたいのが「ディスポジション効果」です。
「ディスポジション効果」とは、「株価が購入時価格より高ければ、満足しすぐに売却しようとする」が、「逆に購入時価格より低ければ、損失に不満を感じ売却を選ぶことができなくなる」という現象のことを指します。
これは、特にトレードをやっている人であれば、身に染みて感じていることだと思います。
伝説の投資家のひとりとして有名な「ピーター・リンチ」さまは、この現象を「花を切って、雑草に水をやる」ようだと言っていますが、多くの投資家は、利益を上げるためとしてまだ上昇する可能性を秘めた勝ち銘柄を即座に売却し良い気分になってしまっているようです。
仮に同じ値段の価格変動だとしても、損失時の売却の方が感情が強く作用します。
これは、相場において「上昇」よりも「下降」がより急激に大きく動きやすい理由になっていることも証明されています。
花を切らずに満開になるまで「待つ」
もちろん、投資をする背景や個別の事情は様々なので、自分が満足できる上昇の時点で「利確」することも正解です。
でも、咲きかけの花を、まだ満開でないにもかかわらず切ってしまうのは誰でももったいないと思うこともまた事実。
満開の花を楽しめるのは、じっくり待つことができた投資家だけに許された世界なのです。
短期的な下落にも、咲きかけのつぼみにも惑わされず、満開になる瞬間まで待てるかどうかは、正しい銘柄を適正価格で購入していることが大前提ですし、感情に惑わざれないトレードシナリオを事前に構築しておき、その通り行動できるかどうかにかかっています。
つまり、誰にでもできることではなく、それなりの努力の積み重ねの上に成り立っていることだと改めて思います。
市場から撤退しない限り、チャンスは何度でもやってきます。
焦らず、自分のペースで、着実にステップアップしていこうと思います。
投資家の最大の敵は「自分自身」
経済学者のベンジャミン・グレアム(Benjamin Graham)さまも指摘しています。
投資家の最大の問題
そして、最大の敵は、
おそらく、自分自身である
Benjamin Graham
人は合理的に行動しない。
それは脳にプログラムされているから避けられないのです。
でも、行動心理学を理解して、対策をすることはできます。
「過去の勝者は未来の勝者」であり「過去の敗者は未来の敗者」である可能性が高いこともまた事実なので、過去の成功者の原理原則に学び続けることも大切にしたいと思います。